Boardgame Bonus Track

ボードゲームを遊ぶ上であまり役に立たないと思うけど、ちょっとした雑談の種を提供したいです

ボードゲーム紹介『ティルトゥム』

この記事はぐらさん(@grapswiz)主催「ボドゲ紹介 Advent Calendar 2022 - Adventar」20日目の記事です。前日の記事は tottokoさんによるアメコミ版ラブレターの記事でした。


『ティルトゥム』は2022年発売の新作ボードゲームです。作者はルチアーニ&タスキーニのコンビ。代表作は『ツォルキン』『マルコポーロの足跡』などです。大好きな作者なので、自分もティルトゥムを発売前から注目していた…かというと、そうではありませんでした。
「今どきアクションポイント制って、どうなん?」という思いが頭をよぎったのです。

しかしティルトゥムを初めて遊んだとき、そのシステムの素晴らしさのあまり、頭に即時効果⚡が働いたかような衝撃を受けたのでした!
そんなわけで今年一番印象に残ったゲーム『ティルトゥム』の紹介記事となります。

ティルトゥムの背景

プレイヤーは中世ヨーロッパの裕福な商人となり、各地に商館を建てたり、建築することで名誉を得ます。また毎年、見本市が開催されますが、そこに参加するために、さまざまな条件を達成せねばなりません。

手番ではダイスを1個選ぶだけ

プレイヤーは毎手番、ダイス1個選ぶことから始まります。このダイスを1個選ぶだけで「どのアクションをするのか」「どの資源が手に入るのか」「そのアクションはどれだけできるのか・その資源はどれだけ手に入るのか」のすべてが決まるのです。このシステムの美しさたるや!

↑その目に応じてダイスを置く場所が決まっています。たとえば上の写真の場合、1の目のダイス=人物アクション(横顔が描いてるアクション)になります。これが、そのダイスを選んだ時に実行するアクションとなるのです。"ダイスの色"は貰える資源の種類。"ダイスの目"は貰える資源の数、そして"7ーダイスの目"が、手番で使えるアクションポイントの数になります。もらえる資源の数とアクションポイント数が反比例するのもティルトゥムの面白いところ。

 

真ん中の円盤はラウンドごとに時計回りに1つ回るだけです。なのでティルトゥムは「何ラウンド目に、どのアクションが、どれほどのアクションポイントを生み出すか」がセットアップの時点で決まっているのです。この見通しの良さよ!

やりたいアクションの場所にダイスがない場合でも、お金というリソースさえ払えばアクションできる仕組みになっています。どのダイス目が出るかはランダムですし、他のプレイヤーの選択によるインタラクションもあります。しかし十分なリソースさえ確保していれば、あなたの行動を阻害するものは何もありません!

 ティルトゥムに「しゃがみ」は不要!

ティルトゥムでは「しゃがむ」だけの手番はありません(※しゃがむとは、リソースを確保するだけの手番や、ワーカーを回収するだけの手番など、勝利のため下準備をするだけの手番のことです)

ティルトゥムの手番では必ず何かしらのリソースが手に入りますし、アクションのすべてが得点行動に直結します。何をやっても得点に繋がるので、一手打つたびに気持ちよくなれます。

ただ「何をやっても得点になるからこそ、何をすればよいのか分からない」と迷うこともあるでしょう。でも、ご安心ください。ティルトゥムでは"見本市"という中間決算の条件が用意されています。おのずとプレイヤーに目標を与えてくれるので、指針が立てやすいのです。

 

なお、この見本市はゲームごとに変わるため「この行動をしていれば強い」という定石が生まれず、結果、ティルトゥムは何度でも遊べるゲームになっています。

アクションポイント制はもう古い?

冒頭でティルトゥムがアクションポイント制であることをお伝えしました。アクションポイント制というシステムの歴史はとても古いです。なので自分はアクションポイント制は古臭いシステムだと思い込んでました。

しかしティルトゥムのアクションポイント制は、蓋を開けると古臭いどころか、今風でした。
昔のアクションポイント制のゲームは、例えるなら「おこずかいを2000円あげるから、好きなところに買い物行ってきな」という感じでプレイヤーに丸投げでした。これだと自由すぎてしまうために長考を生むのが問題なのです。
(それはそれでワクワクするので、自分は未だにティカルなどの怖い顔3部作が大好きです。怖い顔3部作について詳しくはコチラをどうぞ)
しかし今風のアクションポイント制は違います。「本屋に行くなら1000円分の図書券をあげる。酒屋にいくなら3000円分のビール券をあげる」というように、プレイヤーに行動を選ばせた後に、そこでしか使えないポイントがもらえるのです。先にどこに行くかを選択させて、そこでポイントを使わせる…というプレイヤーに対して順を追って選択肢を提示するため、非常に考えやすくなっています(思い返せば『カンバン』や『クルセイダーズ』も、この手法を使っていましたね)。
ティルトゥムはアクションポイント制ではありますが、今風のアクションポイント制なのです!

とはいえ各アクションでも、やれることが複数あるため最初は少し戸惑うかもしれません。しかし、ありがたいことに現在インターネット上にはティルトゥムのサマリーを公開してくださっている方々がいます。サマリーを人数分印刷しておくことをおススメします。

まとめ

ツイッターやブログなどを見ると決してティルトゥムは良い評判ばかりではありません。「初プレイは長考しがち」「最後手番プレイヤーに人権がない」「”ちんち○剥く"を早口で言うとティルトゥムに聞こえる」など…ネガティブな意見もあります。

合う合わないは人それぞれあるかもしれません。しかし自分としては一度は遊んでほしいボードゲームの一つなのです。

もし初めて遊ぶ方がいる場合、できれば人数分のサマリーを用意して欲しいです。そして長考にも寛容な気持ちで臨んでほしいです。

手番順の傾斜が気になる方は、ぜひティルトゥムのプロモーション拡張を使ってほしいです(和訳神こと永峯さんの日本語訳がBGGにて公開されています)。

最後の早口言葉は…良い大人はスルーしましょう!

 

正直な感想を言うと、私にとってティルトゥムは今年一番面白かったゲームではありません。しかし私が今年発売したゲームの中で、一番、末永く遊びたいゲームです。今年最高のゲームではないが、今年最愛のゲーム…それが『ティルトゥム』になります。願わくば、この記事を読んでいる皆さんとティルトゥムを遊びたいものです。

 

そんなわけで、少し早いですが、今年も一年お世話になりました。また来年もよろしくお願いいたします。ティルトゥム遊びましょう!!

おまけ(宣伝)

繰り返しになりますが、ティルトゥムを初めて遊んだ時、私には即時効果⚡が働いたのです。

「ティルトゥムは面白い。システムも素晴らしい。このシステムを蒸気の時代で表現したい!!」と。

そんなわけでティルトゥムを遊んでから1か月半後に完成したのが「蒸気の時代 東京23区マップ」です。ダイスピック&アクションポイント制の拡張マップとなります。

もちろんティルトゥムの面白さを100%表現できたわけではありません。しかし蒸気の時代の拡張マップとして、少なくとも自分が最高に面白いと思えるマップができたので、もし興味のある方は遊んでください!自分にお申し付け頂ければ、どこでも馳せ参じます!!

ageofsteam.hatenadiary.com