Boardgame Bonus Track

ボードゲームを遊ぶ上であまり役に立たないと思うけど、ちょっとした雑談の種を提供したいです

怖い顔3部作について(ティカル、メキシカ、クスコ)

大変お待たせしました。この記事はボドゲ紹介アドベントカレンダー16日目の記事です。15日目はKINUさんによる『KINUの年間ボドゲ大賞』2018 – Kinu_Boardgame_diary でした。紹介されているすべてのゲームが自分も好きなゲームでとても共感が持てます!

 

さてさて。今回は、いよいよリメイクされたジャワのリメイク作『クスコ』がとっっっても面白かったので『ティカル』『メキシカ』『クスコ(ジャワ)』について紹介します。

 

怖い顔3部作について

クラマー&キースリング作の『ティカル』『ジャワ』『メキシカ』は、通称「怖い顔三部作」…海外では「仮面3部作(Mask Trilogy)」と呼ばれています。
その呼び名は発売当初、箱の絵が怖い仮面だったからです。

f:id:see_know:20181224193001j:plain

f:id:see_know:20181224193023j:plain

f:id:see_know:20181224193037j:plain

…飾ってあると夢に出てきそうな箱絵ですね!
そして2016年からフランスのメーカーSuper Meepleにより格好良くリメイクされました。

f:id:see_know:20181224194117j:plain

なお「ジャワ」について、新しい版では「クスコ」とタイトルが変わっています(ルールに差はありません)。 

クスコのタイトルについて

「なんでジャワだけ、タイトルの名前が変わったのか?」と思うかもしれません。
これは作者による意向らしくティカルとメキシカはアメリカが舞台なのに、ジャワだけ遠く離れたインドネシアが舞台であったため、パッケージ変更に伴って同アメリカに舞台をクスコに変えたとのことです

(↓ 吹き出しの位置は精緻なものではありません)

f:id:see_know:20181224192654p:plain

…地図を見ると、たしかにジャワだけ仲間外れ。これは可哀そうですね!「仮面」という縛りがなくなったのでタイトルをテーマに寄せたのも分かります。

 

アクションポイント制について

この3部作のシステム的な共通点は「アクションポイント制」です。
アクションポイント制とは、手番でできるアクション数をコントロールするシステムで、各プレイヤーは毎手番、何点かのアクションポイント(以下、AP)を受け取り、アクションを行うたびにそれを消費します。

基本的なアクションは1APで済みますが、強力なアクションはたくさんのAPを消費します。 

なお3部作では、ティカルでは10AP、メキシカとクスコ(ジャワ)は6APが手番で使えます。他の作品よりも多めにAPが割り当てられているのが、このシリーズの特徴です(他の多くのゲームは2~3APくらい)。 

 

たくさんのアクションポイント制は「長考しがちだから、ちょっと…」と敬遠する方もいるかと思います。
実際、最近のゲームは「限られた手番数で、限られたアクションをいかに効率的にするか」に重点を当てているゲームが多いです。

 

…でも自分は思うのです。このたくさんのアクションポイントはクラマーとキースリングからの「YOU、やりたいことを我慢せず、思う存分やっちゃいなよ!!」というメッセージだと。

(もしプレイ時間が気になる方は、まずは2人で遊ぶのがおススメです。
個人的には、本3部作は2人プレイでも十分楽しいゲームだと思います!) 

 

さて。前置きはこれくらいにして、いよいよ3作品のそれぞれの概要と特徴を紹介していきます!

(旧版は発売順がティカル→ジャワ→メキシカでしたが、新版はティカル→メキシカ→クスコとなっています。今回は新版の発売順で紹介します)


ティカルについて

密林を探検し、マヤの神殿を発掘するのが目的

f:id:see_know:20181224194426j:plain


アクションポイントを使ってできるのは主に「遺跡の発掘」と「ワーカーの出現・移動」。遺跡を発掘することによりそのエリアの価値が上がって、自分のワーカーでマジョリティを取ると決算時に得点になります。


このゲームの面白いところが決算のタイミング。手番では、はじめにタイルをめくるのですが、そのタイルが火山タイルのとき決算ラウンドとなります。しかし(他のゲームと異なり)決算は全員が同時に行いません。決算ラウンドでも通常通り、手番で10AP使ってアクションします。その自分の手番の最後で得点計算を行うのがティカルの面白いところ
たとえば先手番の人が10の価値の遺跡をマジョリティを取ればその人に10点が入ります。でも後手番の人が自分の手番で同エリアのマジョリティを奪い返せば後手番の人も10点入るのです。

 

  • 誰もが得点を取れるギズギズしすぎないマジョリティ争い
  • 遺跡を探索するワクワク感
  • 選べるルール選択
  • 火山タイルを引いた人が不利になる運の大きさ

 

このゲームはマジョリティ争いがメインですが、先ほど言った通り誰もが点を取れる可能性があるため、他のマジョリティを競うゲームよりはギズギズしません。

そして何より 、ゲームが進むにつれて盤面が賑やかになりワクワクします。

難点は火山タイルを引いた人は、新天地を作ることができないため損な気がします(火山タイルの上には侵入できない)。

そこで「運の要素が大きい」と思う方には上級ルールがおススメです!上級ルールでは得点を使って競りを行い、どのタイルを自分の手番に出せるかをコントロールすることができます(ただしプレイ時間も長くなるので少人数のときに遊ぶのがおススメ)

メキシカについて

メキシコ人の都市を作るため、運河を作りエリアを作ったり、エリア内に建物を建てるのが目的

f:id:see_know:20181224195116j:plain


アクションポイントを使ってできるのは主に「運河の作成」「橋の建設」「ピラミッドの建設」「ワーカーの移動」。

基本はマジョリティ争いのゲームだけど、メキシカの面白いところが「争うためのエリアをプレイヤーが作るところ」。運河で区切れば、そのエリアの広さに応じた得点がもらえると同時に、その後のマジョリティ争いのエリアとなるのです。
ゲームが進むにつれて、いろんなエリアが作られるので、ゲーム毎に異なるマップが楽しめます。
また移動方法も特殊で、建てた運河や橋を使って移動できるので、予想もしなかったような移動ができるのも楽しいところ。 

  • エリアを作る楽しみと、マジョリティ争いの楽しみ
  • 使い切らなかったアクションポイントを次に持ち越せる
  • ルール量が少なく、説明が楽ちん
  • 運の要素がないところ

 

先ほど書いた通り、このゲームは盤面を作る楽しみと、作った盤面で遊ぶ楽しみがあります。1粒で2度おいしいゲームです。

またティカルやクスコと違い、使い切ることのできなかったAPを後に持ち越せることができます(1~2APと限られてますが)。それ故に無理して使い切る必要がないという安心感があります。

またティカルやクスコに比べてルール量が少ないのもポイントが高いです(ティカルやクスコも、今どきのゲームに比べると、だいぶルール量は少ない方ですが)。

そんなわけで3部作の中では一番とっつきやすいものの、ゲーム中に運の要素がないのが、人を選ぶところではあります。

クスコ(ジャワ)について

インカ時代のインカ帝国の首都クスコ…その首都を作るのが目的

f:id:see_know:20181224195232j:plain

アクションポイントを使ってできるのは主に「タイルの配置」「ワーカーの出現・移動」「都市の建設」そして「祭の開催」。

ティカルのように得点源となる建物を建築するゲームだけど、得点のタイミングが2つあるのがポイント。
まず都市を建てたときに得点となるのですが、建てるには自分のワーカーがその敷地内で物理的(!)に最も高い位置にいる必要があります。
そう、このゲームはタイルを重ねて置いて、その高さを競うパズル的な要素があるのです。
またゲームの最終ラウンドにも得点が入ります。このときはティカルのように自分の手番の最後に高さ争いが発生します。

 

もうひとつの特徴が「祭」。手番の最後に祭を開催すると、競りが始まりトップになると得点が入ります(競りで使うカードはアクションポイントを消費して得ます)

 

  • ティカルの流れも汲みつつ、パズル要素もあり。1粒で2度美味しい
  • カード使い切りの競りも熱い。一粒で3度おいしい!!!
  • 立体感のある盤面が、まるで本当の遺跡のよう
  • 公で呼びずらいタイトル…

 

ティカルのようなマジョリティ争いをしつつも、タイル配置による高さが勝負の決め手なので、パズルゲームが好きな人にもおススメです。

またメキシカのようにガチゲーにならないよう「祭」という運の要素もあります。祭で使うカードは競り勝っても競り負けても使い捨てなので、とても白熱します。

ピラミッド感ではティカルやメキシカに劣るものの、分厚いタイルにより高低差のある盤面は本当に遺跡を再現したかのようになります。

難点はいわずもがな…ちょっと公衆の面前でタイトルを言うのが恥ずかしいですね。


まとめ

自分が怖い顔3部作が好きな理由は「ボードゲームに求めているワクワク感がつまっている」ところです。
ボードゲームは、いろんなテーマがあり、いろんな舞台があります。そのゲームを遊ぶことで、あたかもその舞台に行ったかのような疑似体験ができる…それがボードゲームだと思うのです。ティカルもメキシカもジャワも、その豪華なコンポーネントとルールにより没入感が半端ありません。

 

ただ、まったく同じ舞台では飽きもします…しかしティカルもメキシカも、そしてクスコ(ジャワ)もゲームを遊ぶたびに盤面が変わります。

 

人によってはアクションポイントが、多すぎのように感じるかもしれません。でも「遺跡」という壮大なテーマに対して、多くのアクションポイントを使って色んな冒険をする…自分はそんな怖い顔3部作が大好きなのです。皆さんが、この記事を読んで、少しでもティカル、メキシカ、クスコ(ジャワ)が遊んでみたくなったら幸いです。

 

現在(2018年12月24日)、まだ日本でクスコを取り扱っているショップはありません。
ただ『ティカル』『メキシカ』を取り扱ってくれたテンデイズゲームズさんがきっと将来取り扱ってくれることを自分は信じています。もし一早く遊びたいと思う方は、私に声をかけてください。アクションポイントをたくさん使っても馳せ参じますので!!

 

さて。ボドゲ紹介アドベントカレンダー17日目は、はろんさんによる「Endeavor: Age of Sail」の紹介記事でした(もうすでに公開されています)。素敵な写真ばかりで、とてもプレイ欲が高まる良い記事です!自分も遊んでみたーい!

 

宣伝

2019年1月5日(土)に千葉県柏市のミニチュアフォレストにて「歴史会」を開催します。

twipla.jp

ティカルやメキシカやクスコといった古代遺跡もの、各国の中世を舞台にしたもの、産業革命を舞台にした近代もの等、とにかく歴史を感じさせるものを元号が変わる節目で遊ぼうという企画です。

もし都合の良い方は参加していただけると嬉しいです!!!