Boardgame Bonus Track

ボードゲームを遊ぶ上であまり役に立たないと思うけど、ちょっとした雑談の種を提供したいです

エルドラドについて

今回は『エルドラド (Wettlauf nach El Dorado)』の紹介です。

クニツィア氏が作ったデッキ構築ゲームということで、非常に注目していました。なぜならクニツィア氏はドミニオンが好きではなかったはずだからです。

ドミニオン発売以降から数年はデッキ構築ゲームが流行り、それらは"ドミニオンクローン"と呼ばれることもありました。

クニツィアドミニオンクローンについて「すばらしいアイディアを持ったものが中にはある。でも私がそれに新しいゲームを作っても、今はいい案がないし、たぶん面白いものもできないだろうね」「ときにはこういった(システム流用の)方向に行ったとしても、自分の筆跡を残したゲームになるでしょう」とインタビューで語っています(※)

そんなクニツィアが満を持して出したデッキ構築ゲームが『エルドラド』…注目しないわけがありません!!

 

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タイトル エルドラド (Wettlauf nach El Dorado)
プレイ人数 2 - 4人
プレイ時間 30分~60分
メーカー ラベンスバーガー(Ravensburger)
作者

ライナー クニツィア  (Reiner Knizia)

 

デザイナーとメーカーとの相性という点でも注目です。クニツィア氏&ラベンスバーガー社のタッグ作品は『オロンゴ』以来です。オロンゴも非常に素晴らしい作品だったので、今後はこのタッグの作品は要チェックだと思います。

 

ゲーム背景

一つのゴールに幾千の道程-あなたはどの戦略を選ぶか?

南アメリカのジャングル深くある 隠された黄金の土地"エルドラド"。金、宝石、および貴重なアーティファクト-宝物が、この失われた王国に貯蔵されるという。プレーヤーは探検隊の隊長となり、経験豊かな隊員を雇用し、慎重に道を探す。はじめにエルドラドに到着した探検隊がすべての財宝を手に入れるだろう (ルールブックより意訳)

ゲーム概要

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基本はレースゲームです。スタート地点からゴール地点まで先に着いたプレイヤーの勝ち。
山のマスや他プレイヤーの駒は障害物で、特に細くなる道での位置取りが大事になります。
レースゲームは、差がつくと巻き返しが難しいところがあるけど、エルドラドは要所要所でトッププレイヤーにコストを強いるのが面白いです。勿論、トップはコストを支払い損なわけではなく、タイブレーク時に有利となる仕組みです。

そしてエンジンとなる部分がデッキ構築で行われます。
地形には緑(密林)、青(湖)、黄(村落)の3種があり、対応するカードを出すことで進むことができます。また黄色のカードをコインとして使い毎ターンカードを1回購入することもできます。概要はこれだけ…シンプル!

 

このゲームのポイント

  • テーマがワクワクする
  • カード種類が少なくて覚えやすい
  • 可変ボードによるリプレイ性の高さ
  • 独特なサプライへのアクセス方法
  • 手札の取捨選択できる
  • セットアップが大変
  • 狭いテーブルだと遊ぶのが難しい

 

【テーマ性】密林の中、探検隊の隊長となって黄金郷を目指す…そんなシチュエーションだけでワクワクします。昔は探検隊のTV番組をよく見たものです。

【カード種類の少なさ】ドミニオンを代表とするデッキ構築ゲームの多くは、カードの種類が沢山用意されています。そのためゲーム毎にカードの多様性を楽しめますが、一方でインスト時のカード説明に時間がかかります。
エルドラドではカードの効果が少なく、移動・ドロー・破棄に集約されているため、はじめての人でもカードの全貌を把握するのが容易だと思います

【可変マップ】このゲームにおいてマップが変わるということは、どのカードがどのタイミングで必要なのかが変わるということです。例えば中盤に水辺が多くても、中盤になってから青いカードを購入したのでは遅いため、デッキの回転を考慮してカードを購入する計画性が求められます。

【サプライへのアクセス】エルドラドには初めに購入できるカードはマーケットに並ぶ6種に限られています(ちなみに一種類につき3枚しかないため4人プレイのときは争奪戦になります)。
そしてカードが一種類売り切れたときに、初めて上級カードを購入する権利を得られます。誰かが上級カードを購入したなら、それがマーケットに置かれます。つまりゲーム毎にカードが購入できる順番も変わってくるのです。

【手札の取捨選択】殆どのデッキ構築ゲームは手札を次のラウンドまで持ち越すことはできません。しかし、エルドラドは手札を次ラウンドまで全て保持するか全て捨てるかを選ぶことが可能です。これにより「手札が噛み合わずヤキモキする」ということが減るのです。ただし手札が2枚あり、残したいカードは一枚だけ…なんてことも多々あり、ちょっとしたジレンマも味わえます

【気になること】エルドラドで少し気になるのは「セットアップの煩雑さ」と「テーブルを広く使うこと」が挙げられます。ただ、こちらは工夫次第で改善可能だと思います。

 

縦置きボードの作成

工夫というか工作です。エルドラドはボードが可変であるゆえに場所を取ります。テーブルによってはサプライ置き場を用意するのが困難なときも…

そんなわけで上級サプライを縦置きできるボードを作成しました。設計図も作らず家にあるもので適当に作ったものですが、テーマがテーマなので雑に作った方が雰囲気が出てよいと思ってます(^ω^;

 

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 材料はスチレンボードと木工用ボンドとゴム紐とイーゼル×2…すべて100均で揃います。そのまま箱に入れてもピッタリ収まるようになっています。

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ちなみに左下の謎物体は、ナハリさん(@el_nahari)、ムラさん(@mura_bg)、自分(@see_know)が「エルドラドが今年のSDJをとる」といった発言から、3人のニックネームを1文字ずつとって「SNJ (Shino Nahari moJya)受賞作」として記念に描いた落書きを張り付けたものです。3分で作ったオブジェなのでクオリティ低くて申し訳なす…

 

おわりに

先にも触れましたが『エルドラド』は2017年ドイツ年間ゲーム大賞(SDJ)にノミネートされました。クニツィアの作品でSDJを取ったのは今のところ『ケルト』が最初で最後です。個人的にはドイツゲームらしいドイツゲームとしてエルドラドが受賞することを切に願います。

皆さんも機会があれば、ぜひ遊んでみてください。

 

※参考リンク

①play:game クニツィアへの個人的インタビュー2010 http://www.gamers-jp.com/playgame/archives/001221.html

 

②暮しとボードゲーム スーパースター列伝 第3回 クニツィア博士 中編http://krstbg.com/contents/superstar_rd/004.html