この記事はボドゲ紹介 Advent Calendar 2019 - Adventar 15日目のエントリーとして書きました。昨日はハルバラドさんによる『ホイアン』の紹介記事です。こちらの記事で『ホイアン』を初めて知りました。色んなゲームを知ることができる、それがボドゲ紹介AdventCalendarの良いところですね!
さてさて…皆さんは「蒸気」と聞いて何を思い浮かべるでしょう? 加湿器? アイロン? アイマスク?いやいや、「蒸気」といえば?
『蒸気の時代』なのです!!!
(※認識には個人差があります)
15年以上前に発売されているのも関わらず、多くのボードゲーム好きを魅了している『蒸気の時代(Age of Steam)』を今回は紹介したいと思います!
蒸気の時代の概要
熱い息をはく鉄の馬が、経済を革命する…そんな熱い時代を追体験するゲームです。
プレイヤーはお金を支払い線路を敷設します。線路を敷設し、都市や街をつなげることで、ゲーム終了時に勝利点が入るのです。
その後、都市の上にあるキューブ(=資材)を別の都市に運びます。都市の色は「需要」です。資材を需要のある都市に運ぶことで勝利点を得たり、ラウンドの最後に貰える収入が上がるのです(逆に需要のない都市にキューブを運ぶことはできません)
(上の例では、黒プレイヤーと黄プレイヤーの順番が途中で入れ替わってますが、その理由は後ほど説明します)
そんなわけで手番順が大事なゲームなのですが、その手番順をどうやって決めるのかというと、ラウンドの始まりにお金を使って競りをします。
そして競りで決まった手番順により、1人1つの特殊能力を得ます!
例えば「手番順にかかわらず、資材の輸送だけは一番先にできるマン」「線路をたくさん敷けるマン」など、そのラウンドのみ適用される能力を得ることができるのです。
この手番順と特殊能力の妙により、黄プレイヤーが先手で先に線路を敷いたにもかかわらず、黒プレイヤーが資材を真っ先に運べる能力を持っていたが故に資材を先に取られてしまう…こんなことが蒸気の時代では良く起こります。どんなに大金を積んで先手番を取っても、取る特殊能力によって、どんでん返しが起こるのです。
蒸気の時代の醍醐味
さてさて。競りをするにも、線路を敷くにもお金がかかりますが、なんと我々は初期資金も持っていない設定です。
蒸気の時代では、必ず借金を2回しているところからスタートします。
1回の借金で5金が借りれます(これがどれだけ大金かというと、ゲーム中、線路タイルを1枚敷くだけで2金以上かかります)。利息として毎ラウンド1回の借金ごとに1金支払う必要があります。そして、この借金は…返せません!!
借金をするとゲーム終了時に勝利点も引かれます。
そんなわけで借金はしたくないけど、なにせ拡大しないと収入が増えません。収入が増えないと、利息を払うために借金をすることになり、雪だるま式に借金が増えていきます。
なお、このゲームの注意点として、手持ちのお金がなく利息が払えない場合は、次のラウンドの収入が減ります。下げられるほど収入がない場合は…ゲームから脱落するのです!!
蒸気の時代の魅力(その1)
他人と数少ない資源を争って、借金に苦しみ、爪に火を点すようにお金を工面し、脱落の恐怖に打ち震える…こんな蒸気の時代の何が面白いのでしょうか?
…私は収入が支出を超えた瞬間が、蒸気の時代のプレイ中、最も好きです。
「今、経済を回してる!!」
と実感がわきます。頑張って計画して、頑張って運営して、苦労が報われる…その瞬間が鮮烈に感じられる…それが『蒸気の時代』を愛してやまない理由の一つなのです。
蒸気の時代の魅力(その2)
資材について、蒸気の時代ではラウンドの最後に人数分のサイコロを振って、出た目に応じて、都市に資材が補充される仕組みです。
どこに何の資源が出てくるのか…それが予見されつつも、それがいつになるかわからない…もしかしたらゲーム中に出ない可能性だってある。どんなに頭をひねって計画を練っても、それが上手くいかないこともある。逆に天運に恵まれ欲しいタイミングで欲しい資材が来るときもある。蒸気の時代はそんな波乱の時代を追体験できるゲームなのです(なお、ここがリメイクされたスチームと大きく違う点でもあります)
蒸気の時代の魅力(その3)
蒸気の時代は2002年に発売されたゲームです。古いゲーム故に「経験差」を気にする人もいるかもしれません。しかし、それは杞憂です。なぜなら今もなお拡張マップが発売されているからです。
拡張マップの殆どには特殊ルールが存在して、いつでも未体験のワクワク感を味合わせてくれます。例えば‐
#2017年上半期初プレイベストゲーム
— しの🍆 (@see_know) 2017年6月29日
脳が一番痺れたで賞
「蒸気の時代 月面マップ」
ただでさえ蒸気の時代はお金がカツカツなのに、月面ときたら線路敷くのも高いし、資材届ける場所もターン毎に変わるし…厳しすぎ。あまりの辛さに今でも鮮烈な印象が残っているゲームです🌛 pic.twitter.com/VnWoYAzBhe
蒸気の時代『ゾンビ黙示録』マップ
— しの🍆 (@see_know) 2017年9月2日
ペンシルバニアに発生したゾンビ達。奴らは毎ラウンド進撃して都市へたどり着くと街は廃棄となる。ゾンビに襲われる前に、資源を運び出すゲーム!
厳しいのが資源の増えなさ。毎ラウンド増える資源は0〜3個。資源に群がるプレイヤーもまるでゾンビのよう😱 pic.twitter.com/KBqfwDdkbM
『蒸気の時代 ベルリンマップ』
— しの🍆 (@see_know) 2018年3月20日
昔、ドイツは東と西に分かれていた。幼少の頃ベルリンの壁崩壊のニュースを聞いても正直、ピンとこなかったが…
この拡張マップでは壁があることで、東西は自由に行き来できない!物価も高く資材も限られてる…この時代に生きることの大変さを伝えてくれる良いマップ! pic.twitter.com/JMlmbm1aKY
蒸気の時代 拡張マップ『タイムトラベラー』
— しの🍆 (@see_know) 2018年10月31日
月面にいったり、ゾンビに襲われたりするのでお馴染み(?)蒸気の時代が今度はタイムトラベルする!
マップ(=時代)が4つに別れていて、虚無空間に繋ぐとそれぞれのマップにアクセスできる⏰
最適ルートを探すのが難しく、とても頭を使う…けど楽しい! pic.twitter.com/eJq7sWjC5o
『蒸気の時代 海底2万マイル』
— しの🍆 (@see_know) 2019年2月14日
海中にレールを敷き、海底の荷物を都市に輸送する。なんとこの拡張には固定マップがなす。海タイルを置くアクションにより世界が広がっていく!
都市も最初は全色の需要があるけど、荷物を運ぶたび需要が満たされていく!
ゲーム中に色んな変化がありとてもユニーク🌊 pic.twitter.com/oCwHqUIV0o
蒸気の時代 拡張『Soul Train』
— しの🍆 (@see_know) 2019年3月23日
前半は地獄にある魂( =貨物)を地表へ運び、後半は地表から天国へ運ぶ。前半と後半でマップが一部切り替わる
前半に地表へ運んだ魂は消えず、また後半になっても地表だけで完結してる路線もそのままとなる。どれだけ後半を見据えて前半に準備するか、とても悩ましい! pic.twitter.com/ASBlV6I0Jk
…ほかにも『人体』マップや『ソーラーシステム』マップなど、私もまだまだ未プレイな不思議な拡張マップがあります。
ちなみに今、一番おすすのめ拡張マップは『カンザスシティ』マップです。近年発売されたばかりなので入手が難しくありません(2019年12月15日現在)
https://www.heavycardboard.com/store-1/dual-sided-age-of-steam-map
この『カンザスシティ』マップの良さを語るととても長くなるのでここでは割愛しますが、こちらのmoonGamerさんの記事がとてもおススメです!
最後に
最後にこんなことを言うのもなんですが『蒸気の時代』は、決して万人向けのゲームではありません。2時間以上かかるゲームなのに途中脱落がルールに存在するなんて、今のゲームにはなかなか無い厳しさでしょう。また数少ない資源を取り合ったり、直接的ではないものの、相手へ嫌がらせする要素がいろいろあります。
それでも蒸気の時代が私は大好きです。それは囲んだメンバーと、その苦しみと達成感を共有できるからです。
数年前、Twitterで『蒸気の時代が遊びたい』というつぶやきに「いいね!」を飛ばしただけで、DMで「蒸気の時代、一緒に遊びませんか?」とお誘いが来たのが、私の蒸気の時代の始まりでした。その方と蒸気の時代を遊んだのはそれっきりですが、今でもその方とはとても仲良くさせていただいてます。
また、今では定期的に「鉄分補給の会」という名目で鉄道ゲームを定期的に遊ぶクローズ会に参加させてもらっています。蒸気の時代をはじめ様々な鉄道ゲームを遊ぶことができる今の環境に感謝しかありません。
私としては、気心の知れた人たち全員と蒸気の時代が遊びたい!
この熱い蒸気のような思いが皆さんに伝播すれば幸いです。
さて。ボドゲ紹介アドベントカレンダー16日目は、ニコボド!のニコさんになります。何を紹介するのか、とても楽しみにしています!