Boardgame Bonus Track

ボードゲームを遊ぶ上であまり役に立たないと思うけど、ちょっとした雑談の種を提供したいです

大聖堂シリーズについて

ブログではご無沙汰しております。しのです。
この投稿は「ボドゲ紹介 Advent Calendar 2017」の13日目の記事です。12日目はpokotyamuさんのアウトリブの記事でした。遊んだことはありませんが、北斗の拳好きとしては、ぜひ機会があれば遊んでみたいです。

「世紀末で、ヒャッハー!アウトリブ! - pokotyamuさんのメモ帳」

 さて私も大好きなボードゲームを紹介します。紹介したいのは以下の3作品です! 

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右から『大聖堂 (英名:The Pillars of the Earth)』 『果てしなき世界 (英名:World Without End)』そして『火の柱 (英名:A Column of Fire) ※』これらの作品は「大聖堂シリーズ」と呼ばれています。まずは「大聖堂シリーズ」について簡単に紹介したいと思います

 (※メビウスゲームズの邦題は『永遠の始まり』となります。しかし、ここでは原作小説に敬意を示し、原題の直訳である『火の柱』と表記いたします)

 

「大聖堂シリーズ」について

12世紀のイギリスを舞台にした大河小説があります。その小説は1989年の作品で世界で二千万部売れており、ドラマ化されて、それが日本のテレビでも放送される人気っぷり。
そんな大ヒット小説が『大聖堂』、そして大聖堂を始めとしたイギリスが舞台の大河小説をシリーズ化したのが大聖堂シリーズなのです。

f:id:see_know:20171213020347j:plainシリーズ3つめの小説『A Column of Fire』は、まだ日本で出版されておりません

 そして小説の人気を受けてボードゲーム化された次第です(箱にケン・フォレットの名が刻まれていますがボードゲームのデザイナー名ではなく原作小説の作者名となります)

シリーズは『大聖堂』『果てしなき世界』『火の柱』の他にも『大聖堂 拡張』『大聖堂カードゲーム』『果てしなき世界 カードゲーム』『大聖堂の建設』がありますが、まだ遊んだことがありません。遊んだらまた改めて記事にしたいと思います。

『大聖堂 拡張』以外、それぞれゲームとしては独立しており、個々に楽しむことができます。いきなり2作目の『果てしなき世界』や3作目の『火の柱』から遊んでも、まったく支障はありません。

.oO(デザイナーやメーカーのことも触れたいのですが、いかんせん3作品も紹介すると長くなりすぎるため今回は割愛します)

それでは長い前置きはこれで終わりにして、個別に作品を紹介します。

 

「大聖堂」について

大聖堂を建設することに取りつかれたプレイヤー達。しかし残念ながら大聖堂は情熱だけでは建設できません。壮絶な貧困、最愛の妻の死…そうした苦難に直面しながらも、労働者を使い建材を集め、職人を雇い、大聖堂の建築にいかに貢献するかを競うゲームなのです。 

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ゲーム概要

このゲームはいわゆるワーカープレイスメントです。メインフェイズではワーカーを配置していきます。全員がワーカーを置いたら、そのアクションスペースに描かれていることを順番に実行する…ほぼ、それだけです。

しかし、このゲームの一番の特徴はワーカーを置く順番がランダムであること
全員のワーカーを巾着袋に入れて、スタートプレイヤーはエイヤッと引く。駒を引いた順番でアクションする順番が決まるのです。

それだけだと単なる運ゲーですが、引いた順番が若いとワーカーを置くのにコストが必要となります。一番初めに置く場合はなんと7金が必要。このゲームでとても希少な金属を売っても5金なので、そのコストの高さは本当に辛いものでした…

ポイント

  • プレイ感の軽さ
  • コンポーネントの豪華さ(なんと大聖堂はラウンドマーカー)
  • イベントカードや、くじ引きみたいなワーカーの順番決めという盛り上がる仕組み
  • ルール説明が少し大変

 

基本は「14個あるアクションスペースにワーカーを配置する→スペースの順番に処理していく」を6ラウンド繰り返すだけです。
アクションでは特権を得たり、資材を得たり、納税があったり…とにかく色々とできることがあるのだけど、ワーカーは順番で処理されるので、とてもプレイ感が軽く感じます。

ルール説明が大変で、14個のアクションを説明しなければならないところは難点です。なので、いったん1ラウンド通しでお試しプレイしても良いかもしれません。
一度、理解してしまえば簡単なので、ボードゲームにそこまで慣れてない人でも丁寧に説明すれば問題なく遊べると思います。
くじ引き要素で盛り上がったり、イベントに一喜一憂したりしつつも、いかに戦略を立てて得点につなげていくかが楽しいゲームです。 

f:id:see_know:20171213021454j:plainちなみに大聖堂は2007年のドイツゲーム大賞1位。ゲーマー達が認める面白さ!

「果てしなき世界」について

大聖堂の時代から150年後、建築士たちは「世界で最も高い建造物を造りたい」と夢を抱きます。しかしプレイヤー達は国から穀物や税金を納めることを強要され、教会からは信仰を求められます。それに応じることができないと重いペナルティを受けるのです。それだけではなく、後半はペストが蔓延し、またその時代ごとに様々な困難が発生します。果たしてプレイヤー達は無事に夢をかなえることはできるのでしょうか?

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ゲーム概要

このゲームは12枚の手札を持って始まります。それぞれにアクションが書いてあり、アクションカードを1枚プレイして、同時にアクションカードを1枚選んで捨てる必要があります。
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 また手番ではイベントカードを1枚引く必要があります。これは正方形になっており四隅にそれぞれ資材が描いてあります。

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そんなイベントカードを手番プレイヤーは、どの向きに置くかを決めます。すると座っている席により、その隅に描かれている資材がもらえるというのがユニークな仕組み(資源がもらえるのは手番プレイヤーだけでなく、全プレイヤーがもらえます) 

ポイント

  • 自分だけでなく他人の取得する資源も決められるのが楽しい
  • 時代が終わると納税の義務が発生。税をいかに工面するかが苦しくも楽しい
  • イベントカードによるドキドキ感。なんとゲーム中24回のイベントが発生!
  • イベントカードに言語依存があり、プレイのテンポが悪い

 

 基本は「スタートプレイヤーはイベントカードを引いて、全員がイベントに従う。その後、ボードに置いたイベントカードの向きによって資源を得る」「各プレイヤーは時計回りにアクションカードを2枚選び、1枚プレイして1枚捨てる」…この繰り返しです。ゲームは4つの区切りがあり、その区切りで食料、お金、信仰心の3つを納税する必要があります。

どんどん狭まる選択肢、そしてゲーム中に4回も来る納税の義務。たまに襲い来る酷いイベントに怯えながら爪に火を点すように少しずつ拡大していきます。
あまりにリソースマネージメントがカツカツのため、マゾなゲームが好きではない人にはとてもおススメできません。

逆に辛い展開の中でも、頑張ってコントロールしながら勝利につなげる…そんなマゾな人にとてもおススメの作品。 

ただ言語依存の多さが難点です。大聖堂シリーズはすべて言語依存がありますが、他の2作品に比べて、果てしなき世界は24回もイベントが発生します。それを対比表を照らし合わせてプレイするのも一苦労です。そんなわけで『果てしなき世界』の日本語化シールを作成しましたので、一足早いクリスマスプレゼントとして公開します。

果てしなき世界(アクションカード).png - Google ドライブ

イベントカード(印刷用).png - Google ドライブ

イベントカード(印刷用)2.png - Google ドライブ

(まだ修正の余地があり、3時代目の一部のイベントカードで、家のアイコンとフレーバーが被ってしまうものがあります。フレーバーを気にされない方はフレーバー部分を切り取ってください。もしそうでないなら近日中に修正版をアップしますのでしばしお待ちを)

 

「火の柱(メビウス訳:永遠の始まり)」について

ときは大聖堂の時代から遡り、エリザベス1世の時代。宗教間の争いが耐えませんでした。プレイヤーは商人となり、ゲームを始める前にカトリック教とプロテスタント教のどちらに所属します。ゲーム中、4つの国でそれぞれ宗教戦争が始まります。あなたは激化する戦争を通じて、勝ち馬に乗ることを目指すのです。さてさて、戦争は何を産むのでしょうか?

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ゲーム概要

 ダイスプレイスメントというジャンルがあります。ワーカープレイスメントの一種ですがダイスの目によって取れるアクションが違うのが特徴です。この火の柱のシステムはそれに近しいものがあります。

メインフェーズの手番では、手元にあるサイコロをすべてふり、その中からひとつ選びます。まずサイコロの色によって処理するエリアが決まります。
手番プレイヤーは「そのエリアの山札からカードを取り、その上に選んだサイコロを乗せる」そして「出た目に対応するところに家を置く」の2つを実行します。

キャラクターは様々な能力を持ちますが、ラウンド毎にサイコロの目が減少しその目がなくなると死んでしまうのです・・・

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またキャラクターカードには「カトリック教徒」「プロテスタント教徒」「中立」のマークが描かれており、カードを取得するたびに、そのキャラの所属する勢力が勢いを増します。
ある一定のタイミングでマジョリティ争いが発生。数の多い勢力側は、置いた家の分だけ勝利点を得ます。そして負けた勢力は家が破壊されるのです…怖い!

ちなみにゲーム中に、宗派はコロコロ変えられるのもこのゲームの特徴です。勢いのある方につくのも大事かもしれません… 

ポイント

  • 宗派による共闘や裏切り要素によるプレイヤー間の絡み
  • 強いキャラは長生きして欲しいけど、ふれるサイコロが少なくなるジレンマ
  • ダイス目やイベントカードによる侭(まま)ならなさ
  • 手順が多くてゲームが煩雑に感じることも…

 

基本は「サイコロを振る⇒サイコロを選ぶ」の繰り返しです。それだけで連鎖的にいろんなことが決定されるのが面白かったです。
ただ選択肢が少ない故に、それに付随する色んな処理をしなければいけない煩雑さが浮き彫りになってしまう…というマイナス点もあります。

とはいえサイコロをふるゲームが好きな人や、共闘や裏切りといったチーム戦の要素が好きな人にお勧めの作品です。
「カトリック同士、協力して家を建てよう」「対立側の家を焼き討ちしよう」とか物騒な会話をしつつ、虎視眈々と自分の勝利を目指しましょう!

f:id:see_know:20171213015837j:plain見てください、この美麗なボード!

おわりに

小説『大聖堂』の日本語解説に「大河小説におけるフィクションの力」が指摘されています。大聖堂シリーズはイギリスの歴史を参考にしながらも、主人公達は架空の人物です。そういえば私も昔はNHKの大河ドラマを見たものですが、まったく史実通りというわけではなくフィクションも大いにありました。

ボードゲームの大聖堂シリーズも歴史をなぞるものではありません…でも、プレイすればその時代に生きたかのような体験することができるのです。

ボードゲームとしての大聖堂シリーズは重厚なアートワークとは裏腹に、どれも運の要素を大事にしています。総じてイベントカードという存在があり、理不尽な内容が含まれます。そのため、とても戦略的なゲームだと思って挑むと肩透かしに合うかもしれません。

大聖堂シリーズの主人公たちは色んな苦難に出会います。宗教の確執や権謀術数に巻き込まれたり、厳しい冬や疫病による被害にあったり。そうした苦難を潜り抜けて、主人公たちは自身の目的のために全力を尽くします。皆さんも大聖堂シリーズを通じて、中世ヨーロッパを体験してみませんか? 

宣伝とか

私はシステムだけではなく時代背景、作者、メーカー色んな観点でボードゲームを楽しむのが大好きです。テーマを絞って遊ぶことで「この作者は運の要素も大事にしてる」「このメーカーのコンポーネントはとても重厚感ある」等々、色んな気づきがあります。ゲームとして楽しむのがボードゲームの一番の楽しみ方ではありますが、せっかくなので色んな角度で楽しんでみるのも一興ではないでしょうか?
私は年に数回ほど、千葉県の柏市でテーマを絞ったボードゲーム会をしています。また開催する際は、こちらのブログでも告知しますので興味があればよろしくおねがいします。

 


さてさて。明日の「ボドゲ紹介 Advent Calendar 2017」14日目は、ななななんとアークライト社による記事。紹介するのは今秋話題作の『マジェスティ』とのこと!
作者はマーク・アンドレ。代表作は『宝石の煌き』そして『バロニィ』です。バロニィは「恋するみたいなボードゲーム会」主催であり、私がファンであるボードゲームネットアイドルおしょうさんと仲良くなったとても思い出深いゲームなのです。そんなマーク・アンドレ氏の新作をアークライト社がどう紹介するか、とても楽しみにしています!!