Boardgame Bonus Track

ボードゲームを遊ぶ上であまり役に立たないと思うけど、ちょっとした雑談の種を提供したいです

ボードゲーム紹介『ティルトゥム』

この記事はぐらさん(@grapswiz)主催「ボドゲ紹介 Advent Calendar 2022 - Adventar」20日目の記事です。前日の記事は tottokoさんによるアメコミ版ラブレターの記事でした。


『ティルトゥム』は2022年発売の新作ボードゲームです。作者はルチアーニ&タスキーニのコンビ。代表作は『ツォルキン』『マルコポーロの足跡』などです。大好きな作者なので、自分もティルトゥムを発売前から注目していた…かというと、そうではありませんでした。
「今どきアクションポイント制って、どうなん?」という思いが頭をよぎったのです。

しかしティルトゥムを初めて遊んだとき、そのシステムの素晴らしさのあまり、頭に即時効果⚡が働いたかような衝撃を受けたのでした!
そんなわけで今年一番印象に残ったゲーム『ティルトゥム』の紹介記事となります。

ティルトゥムの背景

プレイヤーは中世ヨーロッパの裕福な商人となり、各地に商館を建てたり、建築することで名誉を得ます。また毎年、見本市が開催されますが、そこに参加するために、さまざまな条件を達成せねばなりません。

手番ではダイスを1個選ぶだけ

プレイヤーは毎手番、ダイス1個選ぶことから始まります。このダイスを1個選ぶだけで「どのアクションをするのか」「どの資源が手に入るのか」「そのアクションはどれだけできるのか・その資源はどれだけ手に入るのか」のすべてが決まるのです。このシステムの美しさたるや!

↑その目に応じてダイスを置く場所が決まっています。たとえば上の写真の場合、1の目のダイス=人物アクション(横顔が描いてるアクション)になります。これが、そのダイスを選んだ時に実行するアクションとなるのです。"ダイスの色"は貰える資源の種類。"ダイスの目"は貰える資源の数、そして"7ーダイスの目"が、手番で使えるアクションポイントの数になります。もらえる資源の数とアクションポイント数が反比例するのもティルトゥムの面白いところ。

 

真ん中の円盤はラウンドごとに時計回りに1つ回るだけです。なのでティルトゥムは「何ラウンド目に、どのアクションが、どれほどのアクションポイントを生み出すか」がセットアップの時点で決まっているのです。この見通しの良さよ!

やりたいアクションの場所にダイスがない場合でも、お金というリソースさえ払えばアクションできる仕組みになっています。どのダイス目が出るかはランダムですし、他のプレイヤーの選択によるインタラクションもあります。しかし十分なリソースさえ確保していれば、あなたの行動を阻害するものは何もありません!

 ティルトゥムに「しゃがみ」は不要!

ティルトゥムでは「しゃがむ」だけの手番はありません(※しゃがむとは、リソースを確保するだけの手番や、ワーカーを回収するだけの手番など、勝利のため下準備をするだけの手番のことです)

ティルトゥムの手番では必ず何かしらのリソースが手に入りますし、アクションのすべてが得点行動に直結します。何をやっても得点に繋がるので、一手打つたびに気持ちよくなれます。

ただ「何をやっても得点になるからこそ、何をすればよいのか分からない」と迷うこともあるでしょう。でも、ご安心ください。ティルトゥムでは"見本市"という中間決算の条件が用意されています。おのずとプレイヤーに目標を与えてくれるので、指針が立てやすいのです。

 

なお、この見本市はゲームごとに変わるため「この行動をしていれば強い」という定石が生まれず、結果、ティルトゥムは何度でも遊べるゲームになっています。

アクションポイント制はもう古い?

冒頭でティルトゥムがアクションポイント制であることをお伝えしました。アクションポイント制というシステムの歴史はとても古いです。なので自分はアクションポイント制は古臭いシステムだと思い込んでました。

しかしティルトゥムのアクションポイント制は、蓋を開けると古臭いどころか、今風でした。
昔のアクションポイント制のゲームは、例えるなら「おこずかいを2000円あげるから、好きなところに買い物行ってきな」という感じでプレイヤーに丸投げでした。これだと自由すぎてしまうために長考を生むのが問題なのです。
(それはそれでワクワクするので、自分は未だにティカルなどの怖い顔3部作が大好きです。怖い顔3部作について詳しくはコチラをどうぞ)
しかし今風のアクションポイント制は違います。「本屋に行くなら1000円分の図書券をあげる。酒屋にいくなら3000円分のビール券をあげる」というように、プレイヤーに行動を選ばせた後に、そこでしか使えないポイントがもらえるのです。先にどこに行くかを選択させて、そこでポイントを使わせる…というプレイヤーに対して順を追って選択肢を提示するため、非常に考えやすくなっています(思い返せば『カンバン』や『クルセイダーズ』も、この手法を使っていましたね)。
ティルトゥムはアクションポイント制ではありますが、今風のアクションポイント制なのです!

とはいえ各アクションでも、やれることが複数あるため最初は少し戸惑うかもしれません。しかし、ありがたいことに現在インターネット上にはティルトゥムのサマリーを公開してくださっている方々がいます。サマリーを人数分印刷しておくことをおススメします。

まとめ

ツイッターやブログなどを見ると決してティルトゥムは良い評判ばかりではありません。「初プレイは長考しがち」「最後手番プレイヤーに人権がない」「”ちんち○剥く"を早口で言うとティルトゥムに聞こえる」など…ネガティブな意見もあります。

合う合わないは人それぞれあるかもしれません。しかし自分としては一度は遊んでほしいボードゲームの一つなのです。

もし初めて遊ぶ方がいる場合、できれば人数分のサマリーを用意して欲しいです。そして長考にも寛容な気持ちで臨んでほしいです。

手番順の傾斜が気になる方は、ぜひティルトゥムのプロモーション拡張を使ってほしいです(和訳神こと永峯さんの日本語訳がBGGにて公開されています)。

最後の早口言葉は…良い大人はスルーしましょう!

 

正直な感想を言うと、私にとってティルトゥムは今年一番面白かったゲームではありません。しかし私が今年発売したゲームの中で、一番、末永く遊びたいゲームです。今年最高のゲームではないが、今年最愛のゲーム…それが『ティルトゥム』になります。願わくば、この記事を読んでいる皆さんとティルトゥムを遊びたいものです。

 

そんなわけで、少し早いですが、今年も一年お世話になりました。また来年もよろしくお願いいたします。ティルトゥム遊びましょう!!

おまけ(宣伝)

繰り返しになりますが、ティルトゥムを初めて遊んだ時、私には即時効果⚡が働いたのです。

「ティルトゥムは面白い。システムも素晴らしい。このシステムを蒸気の時代で表現したい!!」と。

そんなわけでティルトゥムを遊んでから1か月半後に完成したのが「蒸気の時代 東京23区マップ」です。ダイスピック&アクションポイント制の拡張マップとなります。

もちろんティルトゥムの面白さを100%表現できたわけではありません。しかし蒸気の時代の拡張マップとして、少なくとも自分が最高に面白いと思えるマップができたので、もし興味のある方は遊んでください!自分にお申し付け頂ければ、どこでも馳せ参じます!!

ageofsteam.hatenadiary.com

マスタープリントシリーズの紹介

この記事はHAL99さん(@hal_99)主催「ボードゲームに関わるエトセトラ Advent Calendar 2022」の18日目の記事です。前日の記事は tennkyuuさんによる「遊べて幸せだなと改めて思った旧作の話」でした。


 

自分はボードゲームが大好きです。なぜ好きなのかというと「みんなで遊んだ時の体験が楽しいから」に尽きます。

しかし楽しかった記憶も時が経つにつれてどんどん薄れていく。なにか思い出すきっかけがあれば…そうだ!ボードゲームを棚に並べておけば、定期的に思い出すのではないか?棚に並べるならば、できるだけ見た目も麗しい方が良い。

そう考えられてできたシリーズが「マスタープリント」シリーズ!!

…なのかどうかは知りませんがボードゲームの背表紙を洋書にみたてたシリーズが「マスタープリント」シリーズなのです。

 

(マスタープリントを並べるとボードゲーム棚がまるで海外の本棚のようになります)

 

2022年現在、24作品がマスタープリントシリーズとして出版されています。

  • レオナルド・ダ・ヴィンチ (2007年)
  • イスファハン (2007年)
  • エル・カピタン (2007年)
  • キーハーベスト[デメトラ](2007年)
  • カーソンシティ (2009年)
  • チョコラトル (2010年)
  • 発明の時代(2010年)
  • ホームステッダー(2012年)
  • トラヤヌス(2012年)
  • アメリカンレールズ(2013年)
  • ウォーロック(2013年)
  • キーフラワー(2014年)
  • マッシリア(2014年)
  • ゴールデン・エイジ(2014年)
  • ハスペルクニヒト(2015年)
  • バヌアツ(2016年)
  • パパパオロ(2016年)
  • キー・トゥ・ザ・シティ ロンドン(2016年)
  • コーザ・ノストラ(2017年)
  • ハロウィン(2017年)
  • アーグラ (2017年)
  • ライアテア(2018年)
  • フィレンツェ(2018年)
  • ラ・スタンザ(2019年)
  • テラマラ(2019年)
  • ビッグショルダー[シカゴ1875] (2019年)
  • カーネギー(2022年)

重ゲー好きな方なら「知らないうちにマスタープリントが棚にあった!」なーんてこともあるかと思います。

さて。マスタープリントシリーズを時系列に並べてみると変遷が感じられます。序盤は過去作の復刻なのに対して、中盤からはクインド社でオリジナルの作品を出しているのです。昔は「ちょっと箱がオシャレになった復刻版シリーズ」という位置づけでしたが、今となっては注目作も多く出しているシリーズに進化したのでした!

過去の感想ツイートの抜粋

ワーカープレイスメント、タイル配置、ところてん競りなど各要素が美味くミックスされたピザゲーム『パパパオロ』

みんなでゴースト駒を移動し成長させながら、ワイワイ楽しむ中量級パーティゲーム『ハロウィン』

時をかけるワーカープレイスメント『テラマラ』

蒸気の時代のスピンオフ作品!?企業経営ゲーム『カーネギー』

ツイッターで感想をつぶやいておりませんでしたが、『アーグラ』や『ラスタンザ』も自分は好きなゲームです。

おわりに

マスタープリントシリーズはクインドゲーム/Quined Games(以下、クインド社)という会社から出版されてます。
クインド社は、Arno Quispel氏と、Frank Quispel氏の兄弟が運営しているオランダの会社です(本当に海外の方々は兄弟仲がとても良いですね!)

マスタープリントシーズは「最高のゲームを復刻する」のが思想でした。それと同時に当初は自国であるオランダ市場に対して、同じオランダの会社であるホワイトゴブリンと共同でボードゲームを届けるのを目的としていたのです。

ただしクインド社は、オランダ市場だけではなく多言語版として各国に出版すべくホワイトゴブリンと袂をわかちあうのでした。その後もたくさんの名作をマスタープリントとして復刻しながらも、自社オリジナルのゲームを多数の作品を発表しています。

個人的には昔の面白いゲームを復刻してくれるスタイルも良かったですが、クインド社独自のゲームを発売してくれる今のスタイルが好きです。これからもクインド社を応援しています!

(ただクインド社公式サイトでポチると届くの遅かったり、レスポンス遅かったりするのは改善して欲しいところ…)

参考:BGG

おまけ

さて日本で「マスター」と言って、真っ先に思い浮かぶのが「アイドルマスター(アイドル育成を題材にしたナムコのデジタルゲーム)」です。今でこそボードゲームの二次創作ゲームは少なくなりましたが、2000年代のゲームマーケットでは二次創作のボードゲームが数多くありました。その中でひときわ光っていたのはアイドルマスターの二次創作ボードゲームです。正直、二次創作ゲームはテーマ重視が多く、システムは「ウノ」「ノイ」「ハゲタカのえじき」といった名作に少しルールを加えただけ…みたいなゲームが多かったのです。その中でアイドルマスターの二次創作ゲームはオリジナリティ溢れる作品が多く、当時、私と友人達は徹夜してアイマスのボードゲームを遊んだものでした(実は昔にアイドルマスターの同人ゲーム作りにかかわったこともあります)
2010年以降、自分は海外ゲームの魅力に取り憑かれて、国産ゲームからは少し離れていたのですが…しかし『シアター オン タイルズ』というワーカープレイスメントとタイル配置が合わさったゲームに出会い、未だアイドルマスターの二次創作ボードゲームはオリジナリティある素晴らしいゲームが発表し続けていることを知ったのです。「ボードゲームに関わるエトセトラ Advent Calendar 2022」の19日目は、その作者であるtottoko氏によるアイドルマスターのボードゲーム記事となります。お楽しみに!!
 

 

蒸気の熱気を感じるゲーム達(TramWays & CLINIC)

この記事はボドゲ紹介 Advent Calendar 2021 - Adventar 19日目のエントリーとして書きました。昨日はまるぃもさんによるボードゲーム棚やテーブルの選び方についての記事です。棚だけでなく地震対策やテーブルについての紹介があり、とても実用的。今から棚やテーブルを購入する方はぜひ参考にどうぞ!(まるぃもさん、自分はアレア集めてないけども!来年は一緒に遊んでね!!)

marulimo.hatenablog.com

 

さてさて、今年は『蒸気の時代』がTwitterのタイムラインを賑わせていましたね!2002年発売のゲームが、DX版の発売をきっかけに再び盛り上がりを見せているのは、とても感慨深いです。蒸気の時代は、拡張マップが100以上あります。なにせ今もなお発売されているので、正直、蒸気の時代だけでも無限に遊べるかもしれません。

…が、それでも「蒸気の時代と似たゲームで、面白いゲームはないですか?」という質問を受けることもあります。そこで、今回は蒸気の時代の影響を色濃く受けつつ、今どきのゲームを紹介できたらと思います。

TramWays ~蒸気の時代色の強いデッキ構築ゲーム!~

このゲームは前半は競りで手番順を決めて、後半で線路敷設や乗客を運ぶ…そんな蒸気と同じような流れですが、蒸気の時代と大きく違うのがTramWaysは「デッキ構築ゲーム」であるところです。

f:id:see_know:20211219232548j:plain

このゲームのポイント

  • 他に見ないユニークでシビアな競り
  • 熱くなるカードドラフト
  • ストレスとの闘い
  • 蒸気の時代よりも複雑なルール

手番順の競りは、他に類を見ない方式の競りです。つり上げ式の競りではありません。前の人より低い金額を提示して良いのです、ただし宣言した金額はすぐに払う必要があります。何巡もすると、そのたびにそのお金を支払う必要があります。

また自分の値付した金額が、次に自分の番に回ってくる時までに最高値をキープし続けていたなら最初の手番になれるのです。この洗面器ゲームのような辛さが、たまらないのです。

そして競りに勝った順で公開されている中からカードを手札に加えることになります。このゲームは、線路敷設も輸送も何もかもアクションはカードを使って行います。そしてカードの中には強いカードもあれば、何にも役に立たないカードも混じっているのです。

これが手番順競りが熱くなる大きな理由です。手札に1枚呪いのようなカードがあるだけで、とても苦しいため競りで妥協ができません!

また、このゲームのもう一つの特徴は「ストレスポイント」。強い行動にはストレスポイントが伴う仕組みになっています。たとえば手番順で1番になるだけでストレスが溜まります。ストレスポイントはゲーム終了時に失点となります。なのでストレスのコントロールも大事になってくるのです。

難点は蒸気の時代に比べるとルールが複雑なところです。カードにはいろんなアイコンがあり、それを組み合わせてアクションするため、初プレイ時はインストに時間が結構かかると思います。

 

CLINIC ~蒸気の時代の香りがする病院経営ゲーム!~

敷地内に沢山の施設を作って、医者や看護師を雇い、患者を病院に招いて、患者を治すことでお金を儲ける。そして儲けたお金を勝利点に変換していきます。

タイル配置することで効率的なルートを構築して、いかに患者や医者を治療室に移動させるか…テーマは違えど、遊ぶと蒸気の時代の香りがする経済ゲームです。

f:id:see_know:20211219232949j:plain

 

このゲームのポイント

  • ユニークなテーマとシステムの合致
  • 程よいインタラクション
  • 無限に遊べる拡張セット
  • 複雑なルール

このゲームは病院経営ゲームです。しかし軽症な患者を治療してもそんなにお金は儲かりません。ならばどうお金を稼ぐのか?…なんと、このゲームは患者を1ラウンド放置すると重症化するのです。わざと患者を放置して、重症化したら治療して患者から高額の治療費を請求するなんてこともできてしまうのです。恐ろしいですね。

しかし、このゲームが悩ましいのは、患者も医者も看護師も、病院にいる者1人につき車が必要になること。車は必ず敷地内で駐車してもらう必要があるため、限られた敷地に駐車スペースを作らないといけないのです。

また重病患者を治すには優秀な医者が必要になってくるのですが、医者は業務に追われると、日に日に疲れが溜まり軽症な患者しか治せなくなります。そして医者は一度雇うとリストラできませんし、毎ラウンド給料を支払う必要があります。

この患者と医者と、そして病院のマネジメント…これが上手くシステムとマッチしているのがクリニックの特徴です。

ただ蒸気の時代やTramWaysと異なり、このゲームは個人ボードにタイルを配置していきます。なのでタイル配置による相手の妨害はありません。

そこを物足りなく思うかもしれませんが、建物や患者や医者は、プレイヤー同士で取り合いです。なのでバチバチしすぎない今風のプレイ感となっています。

ちなみにTramWaysも、そしてこのCLINICも、拡張セットがたくさんでています。CLINICについては1st~5th Extensionと、そしてCLINICが協力モードになる『Covid-19』という拡張まで発売されています。

(すでに1か月以上前に直販サイトで注文していて、このブログで紹介したかったのですが…間に合いませんでした。無念)

 

難点は分かりづらいルールです。現在流通してるのはDX版です。分かりづらかった初版のルールをDX版では分かりやすくなるよう書き直されているそうです。しかし、それをもって尚、DX版もルールは分かりづらい!

初期資源のタイル効果一覧くらいあって欲しいものですが「アイコン見れば分かるでしょ」と言わんばかりに、記載がありません。

 

まとめ

今年の『蒸気の時代』の勢いはすごくて、日本でもオリジナルのマップを製作する方が何人もいたり、アクリルなグッズを作る方がでてきたり、みんなの熱気がすごい!!

そして今回、紹介した『TramWays』と『CLINIC』の作者はAlban Viard氏。この方は蒸気の時代の拡張マップを今もリリースしてるほどの蒸気の時代好きな作者なのです。

今年は蒸気好きの熱気をたくさん浴びた年だったと思います。来年は自分も何かしたいなぁ🍆

 

さて、明日はアクリルトレイでお馴染みの豊田えりさんです。去年は一緒に蒸気の時代の人体マップ(Alban Viard作)をしながら年越したのが良い思い出です。えりさんには今年もいっぱいお世話になりました。そんな、えりさんがどんな記事を書いてくださるのかとても楽しみです!!!

オンライン蒸気の時代について

こちらはボードゲームに交わるエトセトラ Advent Calendar 2021の12月2日の記事です。

 

 

今回はオンラインで遊ぶ『蒸気の時代』について、書きたいと思います。

2021年に入ってコロナ禍のせいで、外で遊ぶ時間がめっきり減りました。

もちろんBGAやYUCATAなど、ブラウザで遊べるボードゲームも多いです。

…が、俺は蒸気の時代が遊びたいんだ!

 

そんなわけで、コロナ禍でテレワークの機会も増えたために、好きなゲームをリモートで遊ぼうとおもった次第なのです。

 

 

上記の写真の通り、仕組みは難しくありません。

絶対に必要なものは蒸気の時代本体とWebカメラくらいなのです。このようにWEBカメラをつなげて、ディスコードで映像と音声を共有。あとは声で指示してもらって、駒を動かすだけです。

それってホストは大変なんじゃないの?

意外に大変ではありません。なぜなら蒸気の時代は、同時処理が少なくプレイヤーごとにフェーズが進んでいくため、ホストもせわしなく動かす必要はありません。

ホストがちょっと寂しいのは準備と片づけのときくらい。

でも準備はともかく、片づけは感想戦をしながらやるとあっという間に時間がたつので苦ではないのです。

 

WEBカメラをどうやって固定させるか?

結果的に↓に落ち着きました。スマートフォンを寝っ転がりながら見れるという、とても自堕落なアイテムなんですが、使ってみるとこれが意外や意外、しっかりと固定できて良かったです。

(スマートフォンや小型タブレット用ですが、自分はカメラをモビロンバンドで括り付けて使ってますw)

www.amazon.co.jp

 

照明問題

照明はなくても遊べますが、暗いと青や紫と黒の見分けがつかないなんてことも。

最初は100均のライトを使ってましたが、Amazonセールで良さげなライトが値下げして売っていたので購入...

www.amazon.co.jp

 

参加者は何を用意すればよいの?

お手元にゲーム用のチップか、ないしメモ帳など、とにかく自分の所持金を管理できるようにしておいて欲しいです。

蒸気の時代は、収入と支出が同時処理で行うため、各メンバーのお金を管理すると無駄な時間がかかってしまうのです。

 

まとめ

短いですが、現在、仕事が修羅場のため、ここまでとさせていただきます。また時間が取れたら追記します!

 

もっと気軽に蒸気の時代がネットで遊べるようになるのを夢見ています。

ぜひ、興味のある方はご連絡くださいな🍆

 

 

 

 

 

 

 

 

2021年上半期遊んで面白かったゲーム

2021年も早いもので半分が過ぎてしました。忘れないように6月までに遊んだゲームの中で面白かったゲームを独断と偏見で順位つけて10位までを残していきたいと思います。 

2021年度上半期、初プレイした中で面白かったゲーム

10位 モルック

遊んでる最中に、自身の成長が感じられる程よい難易度が素敵。そもそもこういうゲームが遊べるシチュエーションが好き。関係ないけど、今年度前半はモルカー人気も高かったですね。 

 

9位 クーハンデル ボードゲーム

長らく積んでいたゲームをようやく遊ぶことができました。あの不朽の名作カードゲーム『クーハンデル』のボードゲーム化。オリジナルはカードゲームの癖にプレイ時間が長いのだけが不満だったけど、クーハンデルボードゲームはそれが緩和されて遊びやすくなったぞ!

 

8位 帝国の夜明け

「ワーカープレイスメント&エリアマジョリティ」って話をすると、話題に出てくるのがこの作品。実際遊んでみたら、たしかに手番順の妙が楽しすぎる。盤面も渋くて好き。もっと君とは早く会いたかった!

 

7位 クラウド エイジ

プフィスターの新作。マラカイボと同様、ストーリーモードもあり、そちらは未プレイなので、それを遊べばもっと評価はあがるやも。そんなわけで日本語版の発売を楽しみにしています!

 

6位 西フランクの子爵

西フランクシリーズ3作目。ゲームマーケット歩いてたら、トト子ちゃんから「あれー!?まだ西フランク遊んでないのぉ…遅れてるー」と煽られて、その帰りにメンバー集めて遊んだのは良い(?)思い出。遊んで速攻ポチったくらいに面白かったです。

 

5位 プラハ

2021年の春ゲムマで、自分の観測範囲では最も人気の高かった作品。作者はチェコのスフィ。

回転することで相場が変わるアクション選択や、立体的なパラメーター管理など、要素も多いが、その分、面白さが詰まっている。もっと遊びたいなぁ。

4位 デューン:インペリウム

クランク作者によるデッキ構築&ワーカープレイスメント。ままならない手札で、どう最善を尽くすか!!版権物なので難しいのは分かけども、無理を通してでも、日本で流通して欲しいぞぉぉぉ!

3位 Maglev Metro

 蒸気大好きマンであるテッド アルスパッチの作品。透明な線路タイルを重ねることで副線を表現するアイディアも、輸送したお客を個人ボードに配置することでアクション強化される仕組みも、素晴らしいの一言。拡張マップなどの今後の展開にも期待したいところ。

2位 PAN AM

重いゲームも好きだけど、1時間ちょいで終わり、複雑すぎないルール量…このくらいの重さが自分の好みにはドンピシャリです。値段も比較的安いのにコンポーネントが良いのもポイント高し!

 

1位 ビヨンド ザ サン

モノも持ってないのにBGAで3回遊んでこの評価。目新しさは何もないけど、重くなりがちなテックツリーのゲームを1~2時間級ゲームに落とし込んだ手腕が見事。日本語版はよ!

 

番外編

2021年上期遊んで一番面白かった拡張 『オルレアン:交易と陰謀』

2021年日本語版の発売を機に、ふたたび注目されたオルレアン。協力プレイや2人プレイができる拡張『侵略』は遊んだことあったけど、こちらの拡張もかなり良かったです。

 

2021年上期遊んでリプレイして良かったゲーム『ディハンドラー』

とっても古臭いゲームですが、あたかも中世の商人になったかのような雰囲気が好きなんです。久しぶりに遊べてうれしかった!

 

2021年上期一番Twitterのタイムラインを賑わせたゲーム『蒸気の時代』

🍆の観測範囲で、もっともTLを賑わかせたのは…そう蒸気の時代です(主に🍄が蒸気のツイートをRTしてるからだけれど…)

2020年末から自分はWebカメラで遠隔で蒸気の時代を遊び始めましたが、やはりコロナ禍で、オンラインで遊んでくれる人が増えた印象です。

 

2021年7月、自分もこれからようやく新型コロナのワクチンを接種できそうです。

早くコロナが落ち着いて外出して遊べるようになれば良い…と思うと同時に、遠く離れた人とは、これからもオンラインで繋がりたいと思う今日この頃です!

 

ボードゲーム紹介『アフター・ザ・フラッド』

ワレス作『アフター・ザ・フラッド(After the flood)』の紹介記事です。3人専用のゲームなので、なかなか遊ぶ機会は少ないですが、たまに遊びたくなる本作を、もっと遊ぶ機会を増やすべく紹介したいと思います。

概要

得点方法は2つ。エリアを支配することによって毎ラウンド得点が入るのと、高級リソースを集めて都市(ジッグラト)を建てることで得点が入ります。

エリアを支配するには軍隊による侵略が必要です。ベースは戦争ゲームなので、バチバチとプレイヤー同士が殴り合います。ただ勝敗は何だかんだでダイスの目次第なので、そこまでギズギズすることもありません(たぶん)。

 

また様々な資源を集めて都市(ジッグラト)を建てることで、大量の得点が入ります。このゲームの面白いのがお金という概念がなく、物々交換であることです。各地と交易しながら、わらしべ長者のごとく、価値の高い資材に交換していくのです。この資源の価値は様々なところに使われます。たとえば配置する労働者の数、軍隊の強さ、次の手番順などなど…このゲームはリソース変換が主体のゲームなのです。

このゲームのポイント

  • 3人プレイによるパワーバランスが絶妙
  • リソース変換が楽しい
  • 競り要素が熱い
  • 1ラウンドの流れでやることが多い

3人専用ゲームなので、おのずとトップのプレイヤーを残りの2人が殴ることになります。なので、ゲーム中の単独トップを倒す構図となります。

ゲーム中で得られるリソース数は限られているため、どこに何をどんな順番で使うのか頭を悩ませます。

 このゲームは競りゲームという側面もあります。というのも戦闘時の強さを決めるのに、好きなだけ資源を払うことができるのですが、後手番のプレイヤーがより価値の高い資源を払うことで戦力を上げることができるのです。これにより先に動いたほうが自由に動けるけど、後手に動いた方が戦力を上回りやすいという構図が出来上がるのです。また次ラウンドの手番順も上記と同じ流れなので、このゲームでは「限られた手元の資源をどこに使うのか」が非常に大事になってきます。

 

このゲーム…というよりワレス作品の欠点の一つとして1ラウンドの流れでやることが多いことです。アフターザフラッドも1ラウンド6つのフェーズからなります。

ボード上にフェーズの記載はありますが、それも端的にしか記載がありません。

そこでアフターザフラッドのサマリーを作ったので公開します。

アフターザフラッド サマリー 

 間違い等あれば、ぜひご指摘願います。

まとめ

2007年から2010年、ワレスは数々の名作を発表しました。ブラスから始まり、オートモービルやロンドンが産まれたのもこの時期です。
その中で3人用ゲームが2作品発表されました。その内のひとつが本作の『アフターザフラッド』です。
長時間なマルチなゲームなので人を選ぶものの、色んな要素が絡み合ったこのゲームの魅力に取りつかれた人も少なからずいます。かくいう私もその一人です。

なかなか手に入りづらいゲーム故に、遊ぶ機会も少ないかもしれませんが、ぜひ持っている方々は、ぜひ仲の良いメンバーと遊んでみてほしいものです。もちろん、このゲームでバチバチすることもあるかもしれません。しかし、このゲームのタイトルはAfter the flood…洪水の後のこと、ゲームが終わったら水に流しましょう!

 

トロワから見るボードゲームの変遷

この記事はボドゲ紹介 Advent Calendar 2020 - Adventar20日目のエントリーとして書きました。昨日はかーんさんによる火星ゲームの紹介記事…が紹介されるはずでしたが、まだ公開されてない模様。公開を楽しみにしてます。


さて、今年は「2020年」という区切りの年なので、ボードゲームを雑に5年10年単位で振り返ってみました。

1995年『カタン』が大賞受賞

f:id:see_know:20201220194007j:plain

ダイスをふって資源を獲得。それを元に建築する。ダイスというランダム要素がありながらも、複数の戦略があるところがヒットの理由なのかと思ってます。

2000年『トーレス』がSDJ受賞

f:id:see_know:20201220195407j:plain

前年受賞作が『ティカル』で、翌年受賞作が『カルカソンヌ』。2000年を分岐点にファミリー向けゲームと、ゲーマー向けゲームの2極化が始まったように感じます。

2005年『ケイラス』の発売

f:id:see_know:20201220195119j:plain

ワーカープレイスメントの傑作『ケイラス』の発売。ここら辺の年からワーカープレイスメントの流れがきました。

そして2010年…

2010年は言葉にするのが難しいのですが、ワーカープレイスメントをより成熟させた時代だと思います。ブルゴーニュやアサラ、そしてトロワ、ランダム要素が入りながらも「コストさえ払えば、やりたいことができる」という戦略性の高いゲームが続々と発売された年でした。この「運によるままならなさを戦略でねじ伏せる」のが、たまらないところです。

 

そんなわけで本記事の本題『トロワ』です。

トロワは不思議なゲームです。ダイスゲームでありながらプレイ時間は2時間かかります。ルール量もそれなりにあり、ゲーマー向けのゲームであることは間違いありません。しかし、トロワは不確定要素にあふれています。

f:id:see_know:20201220220602j:plain

ままならないダイス目

f:id:see_know:20201220220823j:plain

毎ラウンド、何が起こるか分からないイベント

f:id:see_know:20201220221107j:plain

毎ラウンド明らかになるアクションカード

f:id:see_know:20201220221628j:plain

最後まで何が得点になるか分からない…正体隠匿要素

トロワはランダム要素が多く、故に盛り上がりどころが随所に散りばめられています。
しかしトロワは運の要素がありつつも、プレイヤーは選択肢が複数あります。ダイスのはお金を支払うことで他人のものを使うこともできるし、影響点を支払えば目を変えられる。不確定要素の海に揺られながら、最善手を目指す…それがトロワの最大の魅力なのです!!!

時は流れて…2020年『トロワ ダイス』ゲームの発売

トロワから10年後に発売されたのが『トロワ ダイス』です。

コロナ禍の中でリモートでも遊びやすく、またソロプレイも可能…このゲームは時代の申し子です。

f:id:see_know:20201220234701j:plain

トロワダイスは10人までプレイ可能

…正直、トロワ10周年という節目で出たのが紙ペンゲームだったので、トロワ ダイスが発表された当時はガッカリしました。紙ペンゲーム出すくらいなら、拡張とセットで記念版出した方が良いんじゃないかと…。しかしトロワ ダイスは良い意味で裏切られました。トロワとルールは全く異なります。でも遊んでみるとビックリ、トロワの魂が宿っているではありませんか!!
ダイスは早い者勝ちではありません。どのタイスも使うことができます。
ただし目の良いダイスほどお金がかかります。お金の使い道が悩ましいところです。
タイスを振ったら、リソースにするか建築するかを選びます。建築は特殊な効果があったり勝利点に繋がったりします。リソースはダイスの目を変えたり、色を変えたりするのに使います。リソースを取ると楽に進められる…けど建築は直接勝利点につながるので、できるだけ建築したい…毎手番、プレイヤーは選択を迫られます。

 

 話がそれますが最初にトロワやトロワダイスをインスト受けた時はテーマとルールが合致しませんでした。でも、遊んでるうちに何となくテーマが頭に入ってくるんですよ。
白いダイスは宗教を示していますが、ゲームでは色を変えることができます。すると、この時代背景には宗教の力は強く、商人や軍隊にも力が及ぶんだなぁ…とか思えるんですよね。遊ぶと自然にトロワの住民になれるのです。

まとめ

今年に入ってトロワは3回遊びました。自分はノンリプレイ派を気取っているわけではありませんが、やはり新作が出ると遊びたくなるので古いゲームを繰り返し遊ぶことが少なくなってしまいます。しかしそんな中でトロワは定期的に遊びたくなる魅力を持ったゲームです。

そしてトロワ ダイスもトロワに勝るとも劣らず、何年経っても遊びたいと思えるゲームだったので紹介した次第です。私は一生遊んでも紙が切れないよう、あらかじめ2個確保するくらいにはトロワダイスが好きです!

いつか仲の良いメンバーをたくさん集めて、トロワダイスを全員で遊ぶのが私の夢です。

f:id:see_know:20201221001446j:plain

最後に集合写真

さてさて、運ゲーといえば赤魔導士さん。
明日の紹介では、どんな運ゲーが飛び出すか楽しみです!